このコーナーは私がこれまで製作した作品を展示しております。

GermanTank Panther TypeG (Early Version)
Tamiya 1/35
■Volume 2■

★このページは少々重いかも知れません。ご了承下さい。


<第2回>

第1回では今回のパンター戦車の全体像をお見せした訳ですが、今回は通常の製作記にかえて、
素材や資料に的を絞って皆様にお届けしたいと思います。
最後までお付き合い下さい。

↓まず、この全体像を目に焼き付けて読み進んでいって下さいね!




■ポイント1■
まず、今回の大きな特徴となった「ツェメリットコーティング」についてお話しましょう。
そう、これは大戦中後期のドイツ戦車のそれらしい演出には欠かすことの出来ないものですね。
私の高校時代なぞはタミヤのラッカーパテを塗り付け、半乾燥の状態でマイナスドライバー等を押し付けてそのパターンにトライしたものでした。
時代は流れ、今は大変便利なツールが各種発売されています。
そして、その大半は私のような田舎在住の者にも入手出来ます。



左:ご存知、タミヤのポリパテです。
私はこのにおいが今ひとつ好きになれません。
何故なら、これを使うと部屋中に刺激臭が漂うからです(苦笑)。
まぁ、そうは言ってもコレを使えばラッカーパテを使うより繊細で丈夫なコーティングパターンが再現出来ます。
今回は久しぶりにこれを使ってみました。
ただ、これで980円とはちょっと高いか・・・。

右:同じくタミヤの「ドイツ戦車コーティングブレードセット」。
このヘラ的なツールの登場は私たちモデラーに大きな恩恵をもたらしました。
同じようなアイテムは「グムカ(マキシム等で取扱)」からも出ていますが、タミヤ製で不足を感じないでしょう。
しかも安い(600円)し、普通の模型店で入手出来ると思います。
このセットは0.5ミリ幅3種と0.7ミリ幅3種が入っています。
パンター戦車においては、タイガー戦車と比較してパターンが少々細かいように思えます。
従って、今回は前者を使用しました。



コーティングはボディ各所に縦にブレードを引き、横線はこのブレードの取手部分でフリーハンドで一気に引いています。
本当はもう少し、しっかりと直線的に表現したかったのですが、ご愛嬌でしょうか(笑)。
ドイツ戦車なので、カッチリした感じに振った方が雰囲気は高まると思います。


■ポイント2■

次にこの写真をご覧下さい。



まず、左右のフロントフェンダーにご注目下さい。
そう、跳ね上げ部分を再現しました。
左フェンダー部分は取れた状態とし、右部分は閉状態としました。
このような細めの切込みを入れなければいけない部分は「トライツール」の”エッチングのこ”が活躍します。
今回は(下の写真の)右側の三角形のモノのみを使用しました。
確かに効果は大きく、まずまずシャープな感じが高まったと思います。
加工後、跳ね上げ周辺部はプラ板と伸ばしランナーから作ったリベットで適当にデッチアップしました。



また、左フロントフェンダー上のボッシュライトはキット純正ですが、そこから伸びるコードは径の異なる2種類の真鍮線で作りました。
これもドイツ戦車の欠かせない工作ですね。


■ポイント3■
次に砲身部分です。
今回製作したのは1944年のノルマンディでの指揮戦車です。
この車両は砲身部に擬装用の金網を付けていたようです。
私もこの史実になるべく忠実に再現しようと思ったのですが、あいにく周囲には適当な素材が見つかりませんでした。
したがって、泣く泣く通常の偽装ネットでお茶を濁すことにしました。
あ〜残念!



使用したのは「バーリンデン・プロダクツ」の♯582”デザート・カモフラージュ・ネット”です。
模型店で600円でした(安い!)。
これを少量切って、砲身に瞬間接着剤で固定します。
その後、ボディ色、ウェザリングと行い、最後は薄く黒系のエナメルでドライブラシして仕上げてあります。
何分、雰囲気優先なので、「まぁ、いいか」の世界ですね(笑)。




■ポイント4■
次はシュルツェン(サイドスカート)です。
キットにもこのパーツは付属していますが、実際の構造とは違うし、厚みも不自然なので自作することにしました。
材料はタミヤのプラ板0.3ミリから切り出し、留め金部分と慎重に位置合わせを行います。



白いモノが自作のシュルツェンです。
ダークイエローで成型された純正のパーツと比較すれば、その差は歴然!
やっぱり、苦労した甲斐がありましたかねぇ・・・。



この写真をご覧頂ければお分かりになる通り、シュルツェンは最後部からそれぞれ端の部分が少しずつ重なるように装備されています。
勿論、端からはその厚みがもろに見えてしまいますので、出来る限り薄めに仕上げたいところです。



もう、このプラ板セットは何年使っているでしょうか。
今回の工作で遂に0.3ミリが底をついてしまいました(笑)。
そう言えば、最近のドラゴンのパンターA型もこの部分は同じような薄いパーツが入っていましたね。
流石、最新キット抜かりはないですね!


■ポイント5■
ボディ後部です。
ここではキャタピララックと牽引ロープ、排気グリルにご注目下さい。



@キャタピララックについて

AFVをそれらしく仕上げるにはどうしても複合素材の活用が不可欠だと思われます。
それはエッチングパーツやレジンパーツ、はたまた自作パーツであれ、大変良いアクセントとなります。
キットの純正パーツはあくまでも”マス”なものですので、ここから先の拘りは製作者任せでしょう。
今回、私は作品に精密感と奥行感を出そうと、キャタピララックのデッチアップを敢行しました。
横長の板の部分はキットのままにして、「コ」の字部分はカットし、代わりに短冊状に切った0.3ミリプラ板を取り付けました。
これはちょっと細かい、面倒な作業でした。
何しろ、「コ」の字部分が片サイド6個、当然両サイドで12個。
その1個ずつの上下にこの短冊状の自作パーツを接着して行く訳です。
更に、その短冊にはピンバイスで小さな穴を開け、後から棒状のストッパーを通すようにしておきます。



尚、左サイド最後部の「コ」の字型2つはキャタピラが装着されていませんので、本当はストッパーが通されていないはずなのです。
しかし、いかんせん自作パーツは非常に繊細な為、強度を増すべくストッパー付きとしてあります。

A牽引ロープについて

キットには当然、プラの純正パーツが付属していますが、これではなかなか雰囲気が出にくいのです(苦笑)。
以前製作した「エレファント」では本物のワイヤーを用いましたが、今回は銅線をよる方法をとってみました。



DIYショップに行き、電気工事用の銅線を買い求めます。
私は念の為に、0.5ミリ(赤)と0.75ミリ(緑)の2種類を用意しました。
どちらも1メートルあたり30円と非常に安価でした。
今回のパンターでは0.75ミリの方を使いました。
ただ、使用に際してはプラのパーツとのバランスを考慮して5本間引きして使いました。



この銅線をよって、キットのワイヤーの頭の部分とつなげます。
つなぐ部分は当然、プラ側にピンバイス(1.0ミリを使用)にて穴を開けておきます。
接着は当然、瞬間接着剤です。
このロープはやはり戦車とバランスがとれるような重量感を演出する必要があると思います。
そこで、適度な「たわみ」と「錆び表現」を行います。
前者は不自然にならない程度の曲がり具合を表現すれば十分でしょう。
実際、銅線であれば加工は大変楽ではあります。
しかし、接着が思いの他、大変でした(苦笑)。
また、後者の表現としては、金属地の上には必ずサーフェイサーを吹き、その上にレッドブラウンを塗ります。
その上にエナメルのメタリックグレイをドライブラシすればイイ感じに仕上がります。

B排気グリルについて

世の中は本当に便利になったものです。
それを一番に感じるのがエッチングパーツの台頭でしょう。
今回はタミヤ純正の別売エッチングパーツセットを用いました。



流石、純正、合いはバッチリだし、安い(600円)!
おまけに砲塔キューポラの照準金具と対空機銃ガンサイトも付属しております。
これはやっぱり必需品ですね。


■ポイント6■
さて、問題の「スターロッドアンテナ」です。
今回の車両は指揮戦車である為、アンテナが3本立っているのです。
キットには1本分(ボディ後部左側)しか表現されていない為、あと2本分調達しなければいけません。
おまけにそのうちの1本が「スターロッドアンテナ」なのです。

ここで、一番問題なのが「スターロッドアンテナ」をどうするかと言うことでした。
心やさしいWEBのお仲間から「アキュリットアーマー」のヤツがいいらしい・・・と言うお話を聞き、早速片っ端からお店に電話してみました。

すると・・・。

ありましたよ!ありました!!
大阪某ホ●ーランドに在庫があったのです。
矢の様な勢いでそれを取り寄せたのは言うまでもありません。



心配されたアンテナ基部も、同好の士「戦車親父」さんから特製パーツをわざわざお送り頂き、事無きを得ました。
「戦車親父」さん、誠にありがとうございました。




■ポイント7■
今回の基本的な塗装は次の通りです。
@「豹柄」迷彩は全てエアブラシにておこないました。
A上記迷彩の基本色は・・・
ダークイエロー:クレオスラッカーの39番+フラットホワイト62番少し
レッドブラウン:クレオスラッカー41番+レッド3番少し
ダークグリーン:クレオス123番
B基本塗装終了後にウォッシングを3回(アンバー系、ブラック系、ブラウン系)行いました。
ウォッシングは勿論エナメルです。
Cウォッシング乾燥後、タミヤエナメルにてドライブラシを行います。
まず、まず、全体にデッキタンにて軽く施します。
次にダークイエロー部分にフラットホワイトで行い、グラデーションを強調。
部分部分によってはフラットアースで行います。
全体のバランスを見ながら、白っぽく、黒っぽくなり過ぎないように注意して・・・。
D全ての塗装の完了後、全体に軽くクレオスのレッドブラウンを薄〜く吹きます。
E最後にタミヤエナメルのフラットベースを吹き、ツヤを整えます。



私が日常、使用している筆たちです。
上から・・・
ドライブラシ用:Holbeinの油彩用セーブル筆200F(350円)
汎用:タミヤのモデリング筆87028(300円)
細かい部分用:精雲堂・判下筆小(500円)

私の筆の好みは「しなやかで腰が強く、毛の抜けが少ない」ことです(当たり前か!)。
したがって、これら3種類の筆はいずれもその条件にまずまず答えてくれていますので、
同じ筆を何本も揃えて使っております。


■ポイント8■
最後に資料のお話を。
昨今、私たちは沢山の資料に恵まれて、その選択すらおぼつかない有様だと言えましょう。
まさに「お金さえあれば何でも手に入る」状況かも知れません。
しかし、欲しい本はすぐ売り切れてしまいがちなのも事実。
今回、私も「グランドパワー別冊」の「パンター戦車図面集」が欲しかったのですが、あいにくどこに照会しても売り切れでした。
仕方なく、次の2つを参考に製作しました。



左:ミリタリーモデリングマニュアルVol.2
(ホビージャパン平成6年2月号別冊 定価1,600円・現在絶版)

一世を風靡した一連のマニュアルシリーズの第2冊。
表紙になっているのは山田卓司氏製作のパンターG初期型指揮戦車!
今回の製作はまさにこの本の影響が大きい。
ドイツものの塗装に振った濃〜い内容は今見ても飽きない。

右:パンテル戦車戦場写真集
(戦車マガジン昭和56年8月号別冊 定価1,500円・現在絶版)

私が高校時代に買い求めた有名な写真集の一つ。
このシリーズはタイガー、W号等沢山出版された。
考証としては若干古い部分もあるが、マーキングのイラストもあり、十分に楽しめる。
勿論、LAHの指揮戦車のイラストもある。

このサイトをご覧の皆様もこれらをお持ちの方がきっと多いのではないでしょうか?


■終わりに■
第1回でも申し上げましたが、パンター戦車に対する私の熱い思いは皆様に伝わったでしょうか。
今回のように2回に分けて掲載するのは私としては珍しいことだと思います。
とにもかくにも、20年ぶり以上にもなる私的パンター戦車完成の目標はようやく達成されたのでした。
この機会を与えて下さった「マット」さん、貴重なパーツお譲り頂いた「戦車親父」さんに心から感謝の意を表したいと思います。
本当に有難うございました。

さてさて、これまであまりAFVを作らなかった私ですが、実は密かに製作してみたいキットが幾つかあるのです。
本日は特別に皆さんにそっとお教え致しましょう(笑)。
@タミヤ1/35「タイガー戦車」後期型(モデルカステンの可動履帯使用)
Aドラゴン1/35「フンメル」( 同 上 )
Bタミヤ1/35「キングタイガー」(ドラゴンの第3空挺師団フィギュア使用の光と影迷彩の車両)
CAFVクラブ「ロングトム」
以下、続く・・・(笑)。



(2002/05/25)




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